はじめての作曲シリーズSTEP4は、「代理和音を学ぼう!」です。
学習の流れは以下のようになっています。
- 代理和音とは何かを学ぶ
- 和音を代理和音に置き換え、響きの違いを感じる
- 実際に作曲してみる!
音源や音声解説が付いている譜例もありますので、ぜひ参考に聴いていただけますと幸いです。
「代理和音」は難しいイメージがありますが、意外と簡単に取り込むことができます!
実際の作曲でぜひ実践してみてくださいね!
STEP1 代理和音とは何かを学ぼう!
まず、代理和音について学んでいきましょう!
はじめての作曲STEP1~3では、「主要三和音」について学習しました。
(こちらの記事からご覧いただけます。)
ある調の音階の中で、Ⅰの和音、Ⅳの和音、Ⅴの和音を「主要三和音」といいます。
代理和音とは、主要三和音以外の、II、III、VI、Ⅶの和音のことです。
下の画像の、□で囲ってある和音が代理和音になります!
代理和音を用いるメリットとは?
長調(Major)の場合、主要三和音は全て長三和音(明るい響き)になり、音楽が単調になってしまいます。
それを避けるために、短三和音(哀愁のある響き)である代理和音を混ぜて、同じ旋律でもニュアンスを変えることができます!
尚、ドミナントの代理和音の内、Ⅶの和音は減三和音で響きの良くない不協和音ですので、今回は譜例で扱いません。
また、音階上の和音(固有和音)以外の和音は、ステップ4では「代理和音」としては扱いません。
STEP2 響きを聴いて確認しよう!
では、実際に代理和音を使った際の響きを聴いて、理解を深めていきましょう!
譜例は全てハ長調(C Major)で説明していきます。
ステップ3で使用した譜例を使っていきます。
まずは、こちらの音源を聴いてみましょう。
シンプルで美しい響きとなっていますね!
次に、3小節目に代理和音を使った場合の音源を聴いてみましょう。
同じメロディーでもニュアンスが変わりましたね!
さて、今度はこのメロディーの前半部分の2小節目にも代理和音を使ってみます。
理論的なことは考えず、音源を聞いて違いを感じてみてください。
□印の箇所が代理和音になります!
短三和音のアンニュイさがメロディの雰囲気を変えてませんか?
このように、同じメロディーでも代理和音を使うことで、雰囲気をガラッと変えることができます!!
代理和音を使うヒント!
ではここで、代理和音を使うヒントを紹介します!
ここではカデンツの知識を使います。
カデンツって一体何?と思われた方は、こちらの記事もぜひご覧ください!
カデンツを学ぼう!その1【トニック・ドミナント・サブドミナント】
主要三和音のⅠの和音、Ⅳの和音、Ⅴの和音は、以下のような機能があります。
- Iの和音=トニック・コード(Tonic Chord)
トニック(音階の開始音)をルート(根音)とするコード - Ⅴの和音=ドミナント・コード(Dominant Chord)
ドミナント(属音=主音より音程5度上の音)をルート(根音)とするコード - Ⅳの和音=サブドミナント・コード(Subdominant Chord)
サブドミナント(下属音=主音より音程5度下の音)をルート(根音)とする和音
そして、上記の機能がある和音は、こちらの代理和音を使うことができます!
- トニック・コード・・・Iの和音以外に VI、IIIの和音を代用できる。
- ドミナント・コード・・・Vの和音以外に、III、Ⅶの和音を代用できる。
- サブドミナント・コード・・・IVの和音以外に、IIの和音を代用できる。
主要三和音上のメロディーと先ほどの代理コードを使った譜例を二つ並べて比較してみます。
今度は省略記号を用いて、「T」「S」「D」をそれぞれ記載します。
代理和音を使うことで、和音の種類は変わりましたが、トニック・ドミナント・サブドミナントといった機能は同じであることが分かりますね!!
このように、和音の機能が同じもの同士は、代理和音で置き換えることができます!
マイケル・ジャクソンの曲にも!?
次の楽曲例は、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチの作詞・作曲「We Are the World」(1985)のサビ部分です。
前半は主要三和音ですが、後半は代用コード(VIやIIIの短三和音)が使われており、盛り上がっているように聴こえますね!
上記の楽譜・音源はハ長調(C Major)になりますが、原調(その曲の元々の調)はホ長調(E Major)になります!
下の音源はホ長調での演奏になりますので、ぜひ聴き比べてみてください!
実際に歌われているこちらの映像もぜひご覧ください!
引用元:Youtube
STEP3 実際に作曲してみよう!
では、ハ長調(C Major)のコード進行上にメロディを創作してみましょう!
今回は、「IV-V-III -VI-II-V -I」というコード進行を用います。
楽譜に書く方法、録音する方法どちらでも結構です!
但し、器楽的な曲や歌の曲は意外と音数が、多くなり、楽譜に書く際はリズムが難しくなります。
そのために聴音(音楽を聞き取り楽譜に書くこと)の技法も少しずつ学ぶのもお勧めです!
メロディーの音の中で、△印(和音外音)の内、テヌート記号(ー)が付いている音があります。
これは、次の拍で出てくる和音構成音を少し先取りして出てくる「前打音」(ゼンダオン)といいます。
いわゆる、ジャズやロックなどのポピュラーミュージック、ウィンナーワルツなどに良く出てくる”スウィング”というものになります!
この”前打音”を使うと、旋律に躍動感が出てきます!
まとめ
お疲れ様でした!今回のポイントを復習しましょう!
- 代理和音とは、主要三和音以外のII、III、VI、Ⅶの和音のこと
- 代理和音を使うことで、同じ旋律でもニュアンスを変えることができる
ぜひ作曲した曲に代理和音を加えてみて、響きの違いを感じてみてくださいね!
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