今回は、「終止形」について解説していきます!
終止形とは、フレーズの終わりにあるカデンツのことです。
「カデンツって何?」と思われた方は、先にこちらの記事をご覧ください!
カデンツを学ぼう!その1【トニック・ドミナント・サブドミナント】
終止形には、いろいろな種類がありますので、一つずつ響きを聴いて確認していきましょう!
もくじ
全終止(完全終止)
全終止の特徴は以下の通りです。
- 曲の終わりにある。転調する曲は中間フレーズの終わりにある。
- バスとソプラノが主音で終わる。
- 和音進行が「V→I」である。バスが5度下行または4度上行している。
- ルネサンス、バロック時代は、【正格終止法】と呼ばれていた。
今回は、「鍵盤和音」と「合唱和声」の2つの譜例があります。
和音は縦に三和音、四和音などが独立して、それが並べられたものです。
和声は各横の三声部(3パート)以上のメロディが独立してあるものになります。
鍵盤和音の譜例の和音では、コードネーム表記
合唱和声にはローマ数字の和音度で表記しました。
また音源は、鍵盤和音はオルガン音源、合唱和声は合唱音源になってます。
二つの音源を聴いて、響きを確認してみましょう!
また、全終止には、「不完全終止」というものもあります。
下記で紹介するので、こちらも響きを聴いてみてくださいね!
全終止(不完全終止)
- フレーズの終わりにある。
- バスは主音で終わるが、ソプラノが主音以外で終わる。
- 和音進行が「V→I」である。バスが5度下行または4度上行している。
半終止
- フレーズの途中で用いられる。
- バスは必ずVの基本和音(ルート音をバスとする)で止まる。
- 和音進行が、
I→V、VI→V(トニック→ドミナント)
または
IV→V、II→V(サブドミナント→ドミナント)である。
※サブドミナントは変化和音も含む
変終止 Plagal Cadence(プラガル終止)
- 曲の終わりにある。
- 讃美歌の終わりに多いので、”アーメン終止”ともいわれる。
- バスは主和音で止まり、ソプラノは主和音の根音、またはそれ以外の音で終われる。
- 和音進行が、「IV→I」「IV+6→I」(サブドミナント→トニック)である。
※サブドミナントは変化和音も含む - ルネサンス・バロック時代は 「変格終止法」と呼ばれていた。
こちらは、【変格終止法】が変化したものになります。
ルネサンスやバロック時代に使われていました。
この和音進行は、ウィーン古典派などのモーツァルト、ハイドンなどの時代は禁則とされていたのです…!
時代によっても、使われる和音進行は変化するのですね!
偽終止
- フレーズの途中で用いられる。
- 曲の終わりの全終止(完全終止)、または変終止の手前にあることが多い。
- 和音進行が「ドミナント→トニック(主和音以外)」である。
ふつうは「V→VI」(いずれも基本和音)が使われる - VIの和音は変化和音も使える。
こちらは、偽終止が変化したものになります。
和音進行が、「V→IV」「V→ドッペルドミナント」(ドミナント→サブドミナント)となっています。
また、「V→III」といった、「ドミナント→主和音以外のトニック」という和音進行も使われています。
実際に確認しよう!
ではここで、実際に曲例をみながら確認していきましょう!
取り上げる譜例はバッハのマタイ受難曲(演奏時間3時間!)より、最初に出てくるホ長調のコラール部分です。
楽譜の下にある動画もぜひご覧ください。
このコラール旋律と同じ旋律で、アレンジ、調性、歌詞の違うコラールを4曲続けて聴くことができます!
もともとコラールは単旋律なため、バッハの神業の和声アレンジに注目しましょう!
引用元:YouTube
まとめ
お疲れ様でした!
各終止形と、和音進行をまとめると、このようになります。
終止形 | 和音進行 |
全終止 (完全終止) |
V→I |
全終止 (不完全終止) |
V→I(ソプラノが主音以外で終わる) |
半終止 | I→V、VI→V、Ⅱ→Ⅴ、Ⅳ→Ⅴ |
変終止 | IV→I、IV+6→I、 |
偽終止 | V→VI(いずれも基本和音) |
最初は覚えるのが難しいかもしれませんが、ピアノなどで弾いて響きを感じると、
自然と身体が覚えていきます。
ぜひ、終止形を身体に覚え込ませてみてくださいね!
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