皆さんは、『パッヘルベル カノン』という有名な曲をご存じですか?
大バッハより32年早く生まれた作曲家、JOHANN PACHELBEL(ヨハン パッヘルベル)が作った曲です。
今からずっと昔に作曲された『カノン』に用いられている和音進行(コード進行)が、なんと現代のポップソングなどにも多く使われています!
そのコード進行を「カノン進行」といいます。
今回は、カノン進行について一緒に分析しつつ、そのコード進行上にオリジナルメロディーをつくってみましょう!
「コードって何?」と思われた方は、こちらの記事を先にご覧ください。
コードの理論を完全マスター!【メジャーコードとマイナーコード】
もくじ
カノン進行の仕組みとは?
では、カノン進行の仕組みを分析していきましょう!
まずは、パッヘルベル作曲の『カノン』を楽譜を眺めながら聴いてみましょう。
楽譜が読めない方も大丈夫です!
ぜひ曲を聴きながら全体の雰囲気を感じてみましょう。
どんな特徴があるでしょうか?
分析をしてみよう
実際に聴いてみたところで、この曲の構造を詳しくみてみましょう!
冒頭の4小節のコード進行が、全体で17回繰り返されています。
音源では、11秒あたりまでがひとまとまりです。
C→G→Am→Em→F→C→F→G
今回のテーマの「カノン進行」の「カノン」とは、冒頭4小節の8つのコード進行のことを指しています。
「パッヘルベルのカノン」という曲名の「カノン」から引用されているといっても良いでしょう。
この「カノン進行」はクラシック音楽やポピュラー音楽、 歌謡曲にもたくさん登場します!
調が変わるとコードが変わる?
先ほど説明したカノン進行は、C Majorにおけるコード進行です。
もし、調がE majorやC minorなどに変化したら、コードネームも変わってきます。
どの調でもカノン進行が思い浮かぶように、和音記号でカノン進行を覚えると便利です。
和音記号については、こちらの記事をご覧ください。
カノン進行の和音記号はこのようになっています!
どのキー(調)でも弾けるよう、いろいろなキーで弾いてみてください。
Ⅰ→Ⅴ→Ⅵ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ
対位法も使われている!?
『パッヘルベル カノン』には、対位法も用いられています。
対位法とは、ざっくりと説明すると複数の独立した旋律が規則に基づいて自由な動きをすることをいいます。
『パッヘルベル カノン』を聴いてみると、複数のメロディが追っかけっこをしているような印象を受けませんか?
これは対位法の一つである「カノン Canon」という作曲技法です。こちらの対位法については、また別の記事で詳しく解説する予定です!お楽しみに!
いろいろな曲に使われるカノン進行
先ほども説明したように、カノン進行はたくさんの曲に使われています!
ここではその一部を紹介します!
ハナミズキ
一青窈さんの「ハナミズキ」のメロディも「カノン進行」で心地よい流れで始まります。
あの有名なサビの部分にも、カノン進行が使われているのです!(原曲は、もう少し複雑なコード進行になっています。ここでは簡略化して記載しています。)
E→B→C#m→G#m→A→E→A→B
ぜひ、実際に曲を聴いてみてください!
引用元:YouTube
Lemon
米津玄師さんの「Lemon」という歌の冒頭も「カノン進行」の和音の上に旋律が作られています。
冒頭のメロディをよく見ると、同じ音型リズムやパターンが繰り返されており、反復進行だとわかります。
Cm→Gm→A♭→E♭→Fm→E♭→F→G
(マイナーキーのカノン進行となっています。)
ぜひ、実際に曲を聴いてみてください!
引用元:YouTube
上記の2つの曲以外にも、たくさんの曲にカノン進行は使われています。
こちらの動画でいろいろな曲がメドレーになっていますので、ぜひ聴いてみてください!
引用元:YouTube
実際に作曲してみよう!
それでは、実際に作曲をしてみましょう!
上記で学んだカノン進行に、オリジナルメロディーをつくっていきます。
ドレミを書ける方はぜひ五線紙に書いてみてください。
楽器の曲でも、最も大切なのは「歌う心」。ぜひ声に出して思うまま歌ってみましょう!
録音してみて、何度も聴きながらゆっくり楽譜に起こせば大丈夫です。
また正確なリズムでなくても、 目安の楽譜のスケッチで良いのです。
出来上がったメロディは楽譜をみながら最初から歌ってみましょう。
エクササイズ 1
ハ長調(C major)の「カノン進行」を使ったコード進行上にメロディを創作してみましょう!
「カノン進行」を使ったメロディー創作の場合は、最初の1小節で作ったメロディーをそのまま 「音程3度」ずつ下げていくと作りやすいですよ!
ぜひ気軽に、自由に作曲してみてください!
以下に、作曲例を紹介します。
作曲例①
1小節目の「ミ~ファソソファミレ」を前半2、3小節目繰り返し、後半もリピートしてます!
文章と同じで、前半を「前フレーズ」(前楽節)、後半を「後フレーズ」(後楽節) と呼びます!
作曲例②
先ほどの【作曲例①】を少しアレンジしてみました。
作曲のポイント
作曲例①のように、1小節ごとの音型を繰り返すのは、それはそれで良いのですが、フレーズが息が短くなりがちです。
フレーズを長くするために音型の向きを変えたりリズムを変化させました。
後半のフレーズは、6小節目で高い音の位置まで持っていき、クライマックスを作りました。
その後、全終止に向かって落ち着いていきます。
最初は作曲例①のように音型をリピートする形で作曲して、その後自由にメロディをアレンジすることもできます。
是非ラララで歌いながら作曲してみて下さい!
音の高さは自由なので、記譜は実音でなく1オクターブ低くても構いません。
いろいろな作曲にチャレンジしてみよう!
お疲れ様でした!今回はカノン進行について学びましたが、作曲の幅がぐんと広がるので、ぜひ活用してみてください!
「Kanade」では、他にも作曲についてのコンテンツを発信しています。
作曲に興味のある方は、ぜひいろいろな作曲にチャレンジしてみてください!
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また、こちらはパリ在住の私の妹であるクレアシオン桂(尺八フルート奏者・シンガーソングライター)と立ち上げたYouTubeチャンネルです! 楽譜販売中の楽譜の演奏動画も配信してます。 ぜひご覧になっていただけますと嬉しいです!
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